スピッツ
スペースシャワーTVが自信をもっておススメする邦楽マンスリーアーティストが"VIP"。話題の新曲ミュージックビデオを中心に大量オンエア!
愛してみてよ減るもんじゃないし / ねぐせ。
毎月注目アーティストの一曲をピックアップし、 そのミュージックビデオをヘビーローテーションでオンエア!
てんぷらちゃん、尾苗愛、ローラーガール、シノザキサトシ、はましたまさし、ほうのきかずなり、処女ブラジルの7人組。
2011年より動画サイトにて自作のミュージックビデオやグラフィックなどを次々に公開。
2012年5月には本アルバムの予告編となるプレデビュー作『禁断の予告編』を限定リリース。
▼『禁断の多数決』自主制作 謎多きメンバー紹介動画を公開!
禁断の多数決。デビュー前から動画サイトに投稿していた自作ミュージック・ビデオ群が、感度の高いリスナーのあいだで話題を呼び、多くのことがベールに包まれたまま右肩上がりに注目度を高めている。メンバーは男女混合の7人編成。特異なクリエイティヴィティとDIY精神に満ちた音楽世界を築き上げている。リスナーに謎かけをしながら共犯関係を結ぶような活動形態。カオティックな情報量と意匠が施された、いびつでヴィヴィッドな光彩を放つサウンドスケープ。実像と実景がひたすら揺らめく歌に潜む、USインディ・シーンとの共時性も感じさせるオルタナティヴなポップネス。類型を破る趣向に富んだ彼らのバンド像と音楽性は、換言すれば、10年代然とした魅力に満ちているとも言える。今月のPower Push!は、全20にも及ぶ楽曲が連なる禁断の多数決のデビュー・アルバム『はじめにアイがあった』から「透明感」が選ばれた。今回は、バンドの中心人物であり全楽曲のソングライティングも手がける、ほうのきかずなりにメール・インタビューを敢行。丁寧な解答で、禁断の多数決の真実と信条を明かしてくれた。
ほうのき:多数派の正義をうかつに信じてはいけないと考えていた時に、メンバーが言った"なんとかの多数決で決めよう"と言ったのを自分が"禁断の多数決で決めよう"と聞き間違えてしまって、なんかいい名前だなと思い、そのまま決まりました。ただ、最初から日本語のネーミングにしたかったというのはありました。
ほうのき:謎にしているというよりは、情報をあまり出していないという感じでしょうか。動画サイトなどで海外のよくわからないアーティスト集団の動画を見たりするのですが、調べてみるとけっこう情報が少なかったりするんですよね。その集団も隠しているわけではなくて、単に情報をあまり出していないだけのようで。気になったこっちとしては"何なんだろう? 気になるなあ"みたいな。そういうのに少なからず影響を受けているのかもしれません。今の時代は何でも調べたらすぐに出てきますから、その逆をしちゃえみたいな。
ほうのき:自分、はました、シノザキ、尾苗の4人は同じ富山県出身で昔からの友人です。ローラーガールとはバイト先で知り合い。ブラジルは友人の妹であったりします。現在高校3年生のてんぷらちゃんとは、図書館で知り合いました。ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ブギーナイツ』という映画を観てすごく衝撃を受けまして、あのような擬似家族的な集団を作ってみたいというのがそもそものきっかけでした。音楽だけじゃなくて、集団でなにか面白いことをしようっていう。
ほうのき:サーカス団とかすごい好きなんです。集団で移動する生活、ノマド(遊牧民)的でもあるし、もう、ちょっとした家族みたいな。それぞれに役割があって、協力し合ってもよいし、協力し合わなくてもよいし、共同体ではあるけれど束縛のない自由な感じ。全員が揃わなくてもよいし。皆それぞれが自分の持っている何かを表現する場所(共同体)でしょうか。
ほうのき:特にはありませんが、面白いこと、実験すること、びっくりさせること、であればメンバー全員何をしても良い感じです。
ほうのき:自分たちでできることであれば、なるべく自分たちで行いたいと思ってはおりますが、すべてのことを自分たちだけでするべきとも考えてはいなくて。今回の『はじめにアイがあった』のジャケットは、江森丈晃さんにお願いしましたし、特に音源制作に関しては、できれば良いスタジオに入ったり、エンジニアさんに頼んだりなど、お金をかけたい考えです。このアルバムを作るに至ってはメンバー全員お金がなくてどうしようもなくDIYでの作業になってしまったというのがホントのところです。だからといって妥協したくはなかったので、いろいろとアイデアを絞ってお金がなくてもできる面白いことを追求しました。そういうところが、DIYで作業をする醍醐味でしょうか?
ほうのき:富山はちょうど日本海側の真ん中に位置するので、四季が見事に全部あったりします。冬になるとたくさん雪が積もりますし。実家のスグ目の前には海があり、ちょっと歩けば山と森と川があります。子どもの頃から外で遊ぶのが好きだったので、自然の風景、音、匂いなんかが脳や体に染み付いているのかもしれません。
ほうのき:急遽、処女ブラジルが語学留学のためにアメリカに行ってしまったり、てんぷらちゃんが高校3年生で受験シーズンに突入したりと、いろいろな理由が重なってしまって今のところはまだライヴをしておりません。今後、ライヴ活動はたくさんしたいと考えております。
ほうのき:単純にポップなものよりかは狂気の中に潜むポップみたいなのものが好きなので、そういうところは意識しています。
ほうのき:ブライアン・ウィルソンが『ペット・サウンズ』、『スマイル』でしたように、少なからず狂っていて、頭で考えても理解のできない音楽。でも、どこか親しみや愛嬌があり、今までそこにあった色合いを即座に自分の脳内色へと変えてくれる魔法。そんな音楽でしょうか。ただ、マニア受けして終わってしまうよりかは、多くの大衆に聴いてもらえるような音楽。ポピュリズムも大事だと考えています。そういう意味では「透明感」って曲はポップ・ミュージックかなと思っています。
ほうのき:ギターやピアノを弾きながら曲を書くことはあまりしませんが、ポータブルレコーダーを持って森などに出かけては、リバーヴ全開で森の音をフィールド・レコーディングしながら頭の中で原曲を作ったり、車に乗りながら曲を作る(メロディが思い浮かぶ)ことが多いです。トラックを作る時はサンプラーなどのループからヒントを得たりして、そこからアレンジすることが多いです。打楽器など、アンプ出しのものはスタジオで録音します。メンバー全員でネットを使ってファイルのやり取りを行い、DAWでミックスし曲を完成させたりしています。
ほうのき:旅をしたり、映画を観たり、音楽を聴いたりなど、今まで自分が知り得なかった感情や風景などにインスパイアされることが多いです。
ほうのき:前山田健一、真部脩一、やくしまるえつこ、コーネリアス、鈴木慶一、坂本龍一、志人、QN、の子、トクマルシューゴ、菅野よう子、宇多田ヒカル、中田ヤスタカ、ももいろクローバーZ、西野カナ。みなさん、独創性と実験精神を大事にされていて好きです。
ほうのき:今って、何かを表現/創作している方のほとんどが動画サイトを使って発信していると思います。自分たちも、面白そうだからやってみようって感じで動画サイトにアップしました。よくある話なんですけども。ただ、数ある動画の中からどうやって埋もれないようにするかは少なからず考えたりはしました。
ほうのき:自分たちに興味を持ってもらったり、逆に自分たちが興味を持ったり、人と関わるきっかけになってるものだなと思います。絵日記みたいだとも思います。音は絵で、日記は映像です。
ほうのき:ミュージック・ビデオを観てくれた人から、なんかよくわからない"新しい感情"を引き出せたらと、そのためにいつも試行錯誤しています。
ほうのき:秋が来ようと終わらない夏のイメージ。地上にあるパラレルワールド。花火がどかーん。花火と一緒に変な踊りをしている人。女性たちの持つ透明感。
ほうのき:夜の遊園地で撮影をしようとした瞬間に豪雨になり、少ししか撮れなかったこと。撮影中に知らないおじさんから突然もらった、いちご大福。
ほうのき:さらっと聴けてしまうような作品は作りたくなかったので、"なんだこれ? よくわかんない、でもなんかちょっと引っかかるなあ"みたいな。ポップではあるけれど、どこか混沌とした作品になったのではないかと思います。
ほうのき:ゲストの中にはミュージシャンじゃない人もいたりします。自分たちが擬似家族な集団だとすれば、その視点で言うとゲストのみなさんは、親戚や従兄弟、たまたま家に遊びに来た友達という感覚でしょうか。少人を除いて実際にみんな友だちです。
ほうのき:音楽家のジム・オルークが何かの雑誌で、"アルバムというのはレコードまでで、CDの登場で終わったんだ"という発言をしているのを目にしてから、ずっと気になっていて。自分はCD世代ですが、iTunesの登場でさらにアルバムの持つ意味というかアルバムのストーリー感は薄れてしまったように感じました。自分自身、iTunesなどで、曲単位で音源を購入するようになり、CDを購入したとしてもiTunesに入れれば好きな曲だけを選んでマイプレイリストに入れたりします。そう考えた時に、どうせアルバムを作るんなら74分ギリギリまで入れちゃえと。ただ、アルバムとして楽しむ方もたくさんいると思うので、ちゃんとコンセプチュアルにストーリーのある選曲をし、アルバムトータルでも楽しめるようにも作ってあります。
ほうのき:今後はライヴ活動、音源制作、映像制作のほかにも路上でパフォーマンス・アートなどをしたいです。その模様を動画サイトにアップしたりして。実現したいことは、旅をしながら世界中のいろんなところでライヴをしたいです。
PowerPush!恒例企画 お祝いケーキSHOT
今回もお祝いケーキを届けに行きました!
text:三宅正一
【禁断の多数決のルーツミュージック】は次のページで!
![]() ほうのきかずなり すべての面において影響を受けています。 |
![]() 尾苗愛 このアルバムの中でとくに矢野顕子さんの「夢のヒヨコ」と斉藤和義さんの「歩いて帰ろう」が大好きです。どの曲もタイプは違うけど、ポンキッキーズだけあって子どもも大人もワクワクするようなおもちゃ箱的アルバムで、これを聴いて自分もポンキッキーズやみんなのうたで流れるような曲を作ってみたいと思うようになりました。 |
![]() はましたまさし このアルバムに収録されている「エンジョイ・ザ・サイレンス」を初めて聴いた時、それまでギター音楽に慣れ親しんできた自分には、かなり衝撃的でした。デジタル臭さで構成された楽曲の中に印象的なリフやフレーズがたくさん入っていて、なんか気持ち悪い、暗い、でも心地いいという不思議な感覚を覚えました。それにプラスされたカッコ気持ち悪いヴォーカル(笑)のバランスが最高です! ギターをシンセっぽく使い回すアイデアなんかもこのアルバムで教えてもらいました。 |
![]() シノザキサトシ 何を考えてるのかさっぱりわからないインストはもちろん良いし、歌も最高です。この人は、湯船に浸かってんのかってくらいに気持ちよさそうに歌うから、こっちまで自然といい気分になってくる。『Telstar』の歌モノバージョンを聴いたときなんて、カラオケボックスでエコーを最大にして歌って、そのままレコードにしたのかと思ったほど。よくブルースハークなんかと交互に聴いてました。 |
![]() ローラーガール 落ち込んでいた時、友達が"これ、元気が出るCD"って言って貸してくれたの。パッツィの甘くキュートな歌声にドキドキ。友だちの優しさに触れた一枚。キューティー・セクシー・ポップがいっぱい詰まったアルバム。 |
処女ブラジル ルーツじゃないかも。リーダーがくれて、寝るときと、バスの中でよく聴いてる。 てんぷらちゃん まだありません |
![]() 5人ショット |
![]() 禁断の多数決ガールズ |
毎月注目アーティストの一曲をピックアップし、
そのミュージックビデオをヘビーローテーションでオンエア!
2012年10月のパワープッシュアーティストは…
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