The Birthday
ロックの夢と真実を響かせたThe Birthday



穏やかな風が会場をやさしく包みこむ昼下がりのMt.FUJI STAGEに登場したのは、その和やかなフィールドをヒリヒリと鋭いロックンロールの世界へ連れ去るThe Birthday。その誕生と共に精力的にライヴを重ね続け、この夏も各地のイベントを歴戦しながら、バンドが生まれ、育っていく様をオーディエンスに曝し続けてきたThe Birthdayのライヴは、今日も彼らの生き様を鮮烈に映し出していた。
まず放たれたのは、すべてのロックンロールへの夢を引き受けるようなチバのギターで幕を開ける“ALRIGHT”。すでにライヴでは披露されているものの、今のところリリース予定のないこの楽曲は、ミドルテンポの曲調にのって<夢を見ようぜベイビー><空は青いはず きっとうまく行くさ>とチバのロックヴォイスが語りかける、胸に深く突き刺さるナンバー。スクリーンに映し出されるチバの顔が、いい。一見穏やかに見えるその表情は、しかし目が鋭く世界を見つめていて、とても「尖った」面構えだ。そのまま初期および最新のシングル曲“stupid”、“アリシア”の連打。鋭いグルーヴが轟くロックナンバーがフィールドを揺らしていく。オーディエンスはステージの4人が発せられる圧倒的なオーラと音に半ば圧倒されながらステージを見入っていて、1曲ごとに大きな拍手が湧き上がる。
「キモチいいね、ここね。でもアレ、富士山じゃないんでしょ?」とチバが的外れの方角をさす。オーディエンスからステージ後方が富士山の方角であることが告げられ、クハラが「まったく見えませんね」と笑う――そこでチバが一言。
「大き過ぎて、見えないんだわ」
――この人はどうしてこんなにも簡単に人の心をかっさらってしまうのだろう。
ここで9月12日リリースのニューアルバム『TEARDROP』から、決定的なる名曲“KAMINARI TODAY”。ロックンロールを信じて走り続けてきた人だけが、そして今も信じて走り続けている人だけが鳴らせる、恐ろしいほどの名曲。チバの今までになくストレートに心情を綴った核心だけを突く言葉達、それをまっすぐに放つロックの代名詞のような声。一音の中に大きなドラマを描くイマイのギター。しなやかにリズムを走らせるクハラのドラム。3人の強者を前に一歩も引くことなく、きっちりと自分を主張する音を鳴らすヒライのベース。すべてが信じられないくらい愛しい音色で、ロックンロールの「真実」たるこの名曲を響かせている。
冒頭に「ヒリヒリとした鋭いロックンロール」と書いたが、The Birthdayの鳴らす音は、どの音もロックンロールに対するロマンと夢に溢れている。だからそれは、尖っているし狂気的だが、同時にどうしようもなくロマンティックで、その中には不思議なやさしさと、そしてシンプルだけど何よりも強くて信じられる「愛」を感じることができる。
ラストは、これもニューアルバムの珠玉の名曲のひとつ、“LUST−チェリーの入ったリンゴ酒を見て想うこと”。地を割り、そのまま天へとまっすぐに昇るような、強く、大きなグルーヴとロックンロールの夢が、会場を突き抜けて行った。
M-1 ALRIGHT
M-2 stupid
M-3 アリシア
M-4 KAMINARI TODAY
M-5 LUST −チェリーの入ったリンゴ酒を見て想うこと−