Cocco
あなたのもとに光よ、届け――Coccoの新しい歌が響いた


会場は霧雨に覆われている。でも、なぜかこのアーティストのライブが今からはじまると思うと、雨だろうが晴れだろうが、いまこの時を刻むすべての状況が必然に思えてくるから不思議だ。元くるりの大村達身を含むバンドとともに、少し照れたような笑みを浮かべCoccoはステージに現れた。ニュー・アルバム『きらきら』の1曲目と同様に、森の妖精が囁く歌声のようなコーラスが聴こえてくる。“燦”だ。オーディエンスはサウンドの1音1音、Coccoが発する一語一句を聴き逃すまいと固唾を飲んでステージを見つめている。
そして、独特のフォームで身体を揺らしながらリズムを取り、歌の物語を紡いでいくCocco。その顔には、やはり穏やかな笑みが浮かんでいる。2曲目“甘い香り”でもオーディエンスをその歌で抱擁するかのように声を響かせる。「どんなに愛してる人と一緒にいてもいろんなことがあるからや。泣くときも怒るときもあるさ。でも、最後に笑えればそれでいいさ。あっちゃんもさっきいろいろあって泣いたんだけどよ、いま笑ってるからよかったね」。大きな拍手が会場に響く。
かつて、音楽を通して自らの心底に潜む漆黒の闇を突き止め、その闇と真正面から対峙するという、身を削ぐような格闘をリスナーの胸に刻みつけていた彼女の姿はもうここにはいない。ここにいるのは、光を希求する歌を唄うことで闇に立ち向かおうとするひとりの女性アーティストだ。この歌の存在が、どこかの誰かが笑顔を作るきっかけになるかもしれない。
そんな、音楽の尊い力をいまの彼女は心から信じている。そう、Coccoは確かに生まれ変わった。こんなにも優しく、力強く生まれ変わったからこそ、彼女はこれからも歌を唄い続けていく覚悟ができている。その揺ぎなき想いを綴った“Never ending journey”を響かせ、Coccoはステージをあとにした。
M-1 燦
M-2 甘い香り
M-3 Heaven's hell
M-4 音速パンチ
M-5 タイムボッカ−ン!
M-6 Never ending journey